老後にマンション売却したいと考えているなら一度はこのページを読んください。なぜなら、あなたにも余生もあり、想像以上に大変な部分が多いからです。
60代以降でマンション売却を検討するなら売却後の資金面など含めて再点検する必要があります。仮に1000万円でマンション売却をしたとします。夫婦で月20万円の生活費が必要なら年間240万円になるので、マンションを現金化しても約4年でお金が無くなり破綻を向かえます。
老後にマンション売却するなら、その後のライフプランも真剣に考える必要があります。そこで、このページでは、老後にマンション売却をする場合について解説します。
もくじ
老後に住み替え計画があるなら資金費用など含め考えてほしい
老後の生活費用負担は2000万円では足りません(本当の話)
老後にマンション売却を考える前にまず余生に必要なお金(負担額)について理解してほしい思います。これから解説しますが、夫婦で4800万円位は必要です。一人当たりに換算すると2400万円位なければ、生活ができないということです。これは大げさな話ではありません。
老後の生活費用の計算式
老後の生活費を考えると夫婦で約20万円位を想定します。仮に60代の方が80代まで想定すれば、20万円×12ヵ月×20年=4800万円位は必要になります。一人だとしても2400万円です。
「こんなにかかるの?」と、この定年後の生活費を聞いて現実離れしていると考えてはいけません。この位、生活費がかかると事前に理解する必要があります。
老後に自宅購入も簡単に考えてはいけない
定年後の退職金や預貯金を加えて、老後を安心して生活できる余剰金が十二分にあるならマンション購入も可能でしょう。簡単に老後にマンション購入すると考えてはいけません。
老後のマンション売却事例も紹介
とても難しい老後問題についてお話していますが、私浦田が売却相談を受けて、買取提案をした事例があります。老人ホームに入居後の案件です。参考になる実例だと思いますのであわせて読んでください。
→『老人ホームの入居後に売却した相談事例について解説した記事』
老後破綻について真剣に考える
老後破綻とは何か
老後破綻とは、定年後に一定水準以下になったことで生活ができなくなることです。他人事ではありません。あなたも老後破綻する可能性があります。
マンションを1000万円で売却した場合、生活費20万であれば約4年でなくなります。老後80歳まで夫婦で生活するとなれば、定年60歳から残り20年位です。生活費20万円ならば、4800万円は必要です。実は驚くような金額ではありません。
さらに深刻な話をすれば、売却価格が1000万円のケースでは、売却価格以上の住宅ローン残債があった場合、現金など預貯金がなければ、金融機関も繰上返済を認めません。このような悩みを多くの方が解決できずにいます。だから、他人事ではないのです。
老後破綻になる前に相談してみよう
マンション維持までも難しい状況になる場合があります。表現がよくありませんが、老後破綻になる可能性の話です。
一般論では、ダウンサイジング(間取りを小さくすること)などで買い替えを提案するケースもありますが、違います。金銭的負担をなくすことを考えます。
公的な行政機関(区役所等)に相談して、公営住宅に引越しなどできるだけ金銭的負担がかからないようにしてください。言い方がよくありませんが、生活保護も検討できます。
自宅マンションを売却すると資産になるので、すぐに申請受理とはいきません。計画的な行動が求められます。冷静に判断しながら対応しましょう。
老後破綻を誰にも相談できない場合
老後破綻で悩んで誰にも相談できないケースがあります。たとえば、子供が独立したり、夫婦のうち主人や妻が他界したりすると誰にも相談できずにいる状態です。
さらに、老後の健康不良面から高額出費が原因で破産するケースも増えています。このようなケースでは、次の対策を計画します。
たとえば、資産になるマンション価値を調べます。実際に今売ったらいくらになるのか? 必ず査定してください。そして、預貯金や保険証書等を含めた現金なども調べます。
これらの合計額から余生を含めた生活費を逆算します。状況によっては、公的な行政機関(区役所等)に相談することも検討します。
50代でマンション住み替えを考えても同じこと
50代で住み替えを考えた場合でも老後と同様に現在の状況から生活費の負担など理解して対応しなければいけません。人生はまだこれからです。
雇用条件など冷静に判断すれば、収入なども右肩上がりではありません。余生の生活費とは別に余剰金を持っているのであれば、住み替えは問題ないでしょう。
老後のマンション売却におけるデメリットについて
老後のデメリットはマンションに住み続けることである(社会問題)
マンション住人の高齢化問題がクローズアップされています。具体的にいうと、最後までマンションで住み続けたいと考える高齢者が非常に多いという現実に直面しています。
マンション購入当時は、どこかで住み替えも検討していたかも知れません。しかし、タイミングも合わなく、マンションにそのまま住み続けてしまうケースもあります。
たとえば子供達が独立すれば、高齢夫婦の2人暮らしになります。高齢でも一人でないのでまだ不安感は軽減できますが、実際に一人暮らしになれば大変です。
老後のデメリットはマンション内で孤独死という難問である
孤独死とは、高齢者の一人暮らしで亡くなられることです。誰にも看取られずにマンション内で亡くなってしまうので深刻です。別名、孤立死ともいう言い方もあります。
孤独死の原因としては、男性の一人暮らし・配偶者の死別・家族や親せきが近くにいない・定年後に仕事をしない・持病で悩む・同じマンションの住人に無関心など複雑です。
マンションの管理組合では、地域ぐるみで高齢者を見守るような町内会的なシステムが少ないため、実態がわかりにくい状況になっているのが原因の一つです。
終の棲家(ついのすみか)というと失礼な表現ですが、高齢者の住まいが分譲マンション内でも増えているので対策が急がれています。
マンション売却で老後のデメリットは心理的瑕疵物件の問題である
心理的瑕疵物件とは、自殺、他殺、火災などの事件性があった事故物件のことです。同じマンション内であった事故については、あなたの号室以外であっても対象になります。
最低でも上下左右の物件情報は、売却前に管理会社などに相談したほうがよいです。
高齢者の孤独死が心理的瑕疵物件に当てはまると売れ残る危険性があります。たとえば、一般的に老衰などは事故物件にはならないことが多いといわれています。
しかし、警察が立ち入ってマンション住人に知られたり、新聞やテレビ報道されてしまうと心理的瑕疵物件になってしまう可能性もあります。
心理的瑕疵物件の基準は、売主の考えで判断せずに「買主の受け入れ方」ですべて変わります。だから、高齢者の孤独死を安易に考えてはいけません。
たとえば、孤独死が買主にバレずに売れたとします。買主のマンション購入後、引き渡しが完了してからこの事実を知れば、損害賠償に発展する可能性もあります。
すべて事実を伝える以外に方法はありません。
中古マンションに高齢者が多いのは自然なことですが、全国でも大きな社会問題になっています。心理的瑕疵物件に該当する判断基準として「大島てる」という情報サイトで確認するもの一つの方法です。事故物件として掲載されるマンションは売れにくいです。
不動産を購入する買主は、このような事故物件の専門サイトで事前に確認しています。Yahoo!やGoogleの検索サイトから「物件名+事故」と入力しても確認できます。
マンション売却による建物寿命と高齢化問題
マンション寿命と住人の高齢化が比例している
マンション寿命とは、建物の資産価値のことです。マンション寿命は、国税庁でも一つの指標を数値化しています。マンション寿命は法定耐用年数ともいいます。
たとえば、鉄筋コンクリート造(又は鉄骨鉄筋コンクリート造)の法定耐用年数は47年です。中古マンションの寿命を逆算すると残り10数年位の資産価値とも判断できます。
あくまでも、国税庁の数値指標なので建物本体がなくなるのではありません。しかし、建物寿命が近づけばマンション内外で不具合が出てきます。たとえば、屋上にある防水シートが破れて雨漏れが発生したり、外壁タイルにクラックというヒビ割れが発生して雨水が浸透したりします。
さらに、雨漏れが鉄筋内部に侵入した場合、サビの原因から鉄筋コンクリート自体の鉄部がふくらみ痛みつけられてしまう場合もあります。
このような不具合が起こらないように住民で構成された管理組合が分譲管理会社を通して、マンションの維持メンテナンスを定期的に対応できていれば問題ありません。
別のページでは国税庁だけでなく、国土交通省でも発表したマンション寿命など含めて解説していますのであわせて読んでください。
マンションの管理費や修繕積立金の増加と高齢化問題
マンションに高齢者が増えると管理費や修繕積立金の改定に反対したり、毎月の負担が増えて滞納が発生したり、積立金不足から大規模修繕工事の変更も考えるようになります。
このようなマンションは今後さらに増えて深刻化していくでしょう。
私 浦田の区分マンションも修繕積立金の値上げになった実話
補足までですが、私の中古区分マンション(平成5年竣工)も修繕積立金が3000円増加しました。定年後を考えるとさらに増加傾向になるでしょう。管理費等が上がることはあっても下がることはないです。
マンションの管理費や修繕積立金の値上げは重要事項に係わる調査報告書で確認する
マンションの管理費や修繕積立金について確認したい場合もあります。このケースでは、重要事項に係わる調査報告書を確認するとよいです。有料になりますが、マンション売却では必要書類になります。別のページで解説していますので、あわせて読んでください。
マンション管理人の高齢化問題と人員不足の問題
分譲マンションの管理人も高齢化が進み、深刻な問題を抱えています。現場の業務対応は若い方よりも高齢者が多いです。その理由の一つは、業務がキツイからです。
3K職という『きつい・きたない・危険な職業』なので若い方は管理人になろうと考えません。管理人の仕事は、一般的に共用部分の掃き掃除や水拭き掃除など行いますが、最近ではゴミの分別なども行わないと回収業者がゴミを置いていきます。
夏は暑いし、冬は寒いので屋外作業の多い管理業務を若い方が希望しません。だから、高齢者が増えてしまうのです。想像以上に管理人不足は深刻です。
マンションは管理で買え! といわれます。しかし、現実のマンション管理実態は、管理人の高齢化が進み、マンションの品質維持も低下しているのかも知れません。
空き家という同じマンション内の高齢化問題
マンションに長く住んでいるので”情”もわきます。そんな愛情の詰まったマンションを他人に使われたくないと空き家状態にしている方も多いです。
生活環境が変わったとしても月に1回など空き家のマンションに行き、バルコニーから風を入れたり、水道の蛇口を開けて水を流したりすれば、維持管理はできます。
ガスは危険なので使いませんが、いつまで空き家状態を続けようか? 悩んでいます。
また世帯主が高齢者施設に入所して、自宅マンションに住めない事情もあります。マンションには戻れないとわかっていても【現状のまま】という家族の事情もあります。
高齢者だけがすべての問題ではありませんが、同じマンションで若い住人が増えないと築年数以上に古いマンションになってしまい、資産価値が下がります。
高齢化問題と老後の住み替えに潜む罠(ワナ)・失敗など
老後の住み替えに潜む罠はたくさんあります。ポイントは、簡単に結論を出さないことです! 不動産会社はマンション売却を提案するでしょう。単純な話ではありません。
買い替えや賃貸に住み替えても失敗するかもしれません。結果として今のマンションが一番良い環境かもしれません。年齢を重ねた住み替えは簡単ではありません。
わからなくなったら、「誰かの手が届く範囲」を基本に考えてください。子供や親せき、ご友人、または行政機関の役所などです。一人で悩まずに多くの意見を求めてください。
マンション売却と高齢化問題について解説しましたが、中々解決の糸口がみつからないのが現状です。マンション売却を考えるなら、今の査定価格から売却するのか? もう少し住みながら様子をみるのか? 冷静に考える必要があります。慌てないで多くの意見を求めましょう。
老後のマンション売却と理想の住まいについて
マンションを売るか?住み続けるか?資金面など後悔しない選択をしてほしい
定年後に老後の理想の住まいを目的に考えた場合、マンション売却か住み続けるのか、難しい問題です。後で失敗したと後悔しないでほしいです。
あなたの現時点の退職金や預貯金にも関係してきます。マンション売却後の現金を頼らなくても生活できる資金があれば、そのまま売却を選択してください。
管理費や修繕積立金、固定資産税などの支払いなら何とか続けていけるのであれば、現時点のマンション価格を査定だけでも行い、今後について考えていきます。
どちらを選択するにも実際に今売ったらいくらになるのか? マンション査定だけでもすべきです。そして、「誰かの手が届く範囲」で生活基盤を考えてください。
今は若くとも将来はわかりません。たとえば、あなたの子供や親せき、ご友人などです。または行政機関の役所などに相談しても良いです。一人で考えずに”多くの意見”を求めるべきです。
老後に自宅購入か賃貸かを解説
定年後の住み替えをするなら分譲購入ではなく、賃貸に住むほうが良いです。一般の賃貸物件を借りて子供や親せき、ご友人の近くに住んだり、家賃を抑えた高齢者優良賃貸住宅など公営住宅に住んだり考えましょう。
誰かの手を借りて手伝ってもらえる環境を自分で整えることです。
自活できるのであれば、頼らずに生活することが何より大事なことです。しかし、いつ体調が急変するのか誰にもわかりません。定年後に住み替えするなら素直になって考えましょう。
老後に公営賃貸住宅の住み替えもおすすめ
定年後にマンション売却して、公営住宅に引越しする方法があります。公営住宅というとUR都市再生機構や都道府県などが運営するマンションなどをいいます。
たとえば、高齢者を優先的に入居できる物件があったり、デイサービスが付いた高齢者専用の賃貸マンションなどもあります。今は健康的で迷惑かけずとも、将来は不安です。
こうした不安を解消するために公営住宅に住み替える方法があります。高齢者仕様でなくても緊急対応用のボタンが部屋に標準設備になっている物件もあります。さらに公営住宅なら敷金・更新料・連帯保証人なしの入居プランもあります。
老後に小さめの部屋へ住み替える場合
マンションを当時購入したときは、夫婦だけでなく子供のことも考え広めの間取りを検討し購入しました。しかし、子供が独立すると夫婦2人では広すぎます。そこで今の間取りよりも小さめの間取りを検討します。これを「ダウンサイジング」といいます。
住み替えとなれば、子供たちや親せき、ご友人が近くにいたほうが安心します。今は夫婦2人で過ごしていても、健康不安も考えながら自分で住環境を整えることです。
このように、今の間取りより小さめの部屋に住み替える方も多いです。
老後によるマンション売却と健康保険料の値上げについて
マンション売却後の譲渡所得が発生したとき
マンションだけなく、不動産売却をした場合、一時的に健康保険料が値上がりするケースがあります。別のページで解説していますので、あわせて読んでください。
ポイントは、譲渡所得です。当時購入したマンション価格より高く売れた場合は健康保険料の値上げがあります。3000万円の特別控除とは別です。
老後でも居住用なら3000万円控除を活用すれば、所得税の心配はない
よくある3000万円控除で翌年の確定申告による所得税の負担がなかったり、次年度の住民税の支払いがなかったりすれば、保険料の値上げはないと考えてします。しかし、3000万円控除前に譲渡所得が発生すれば、一時的に保険料の値上げは仕方ありません。
補足までですが、居住用財産の売却特典として3000万円の特別控除について別のページで解説していますので引き続き読んでください。
まとめ
老後でマンション売却する場合について解説しました。定年後の現状を理解した上で判断してください。ご夫婦で4800万円です。お一人でも2400万円位必要です。
まず第一にあなたがすることは、マンション売却する前に査定依頼を行い、現時点で実際に売ったらいくらになるのか? マンション価格を確認することです。
そうすれば、将来の変化に慌てることもありません。
マンション査定とマンション売却は別です。マンション査定は実際に今売れるマンション価格を知ることです。そして、マンション売却はその査定を元に売却活動に入ることです。
繰り返しますが、「現状のマンション価格」を理解してください。そして、退職金や預貯金を加えて余生を過ごすことができるのか再点検することです。参考にしてください。