不動産売却するときに住宅ローンが残っているときは一括返済が基本です。しかし、住宅ローンを返済しながら売却する方も多いはずです。ここでポイントになることは、売却後の成約価格が住宅ローン残金を上回ることです。返済額まで足りないなら別にお金を用意する必要があります。
住宅ローン返済する場合、不動産売買契約を結んだ後に銀行の担当者と事前相談します。私 浦田も売買契約後に銀行に行って打ち合わせしたことがあります。住宅ローンの一括返済後に支払う金利計算や返済実行日を決めたりします。
不動産売却となれば一括返済が基本条件ですが、すべてではありません。結論からいうと”任意売却”を選択できれば、不動産売却後に住宅ローンが残っても毎月約1万円~2万円前後の返済にすることも可能です。※指定条件はあります。
そこで、このページでは、不動産売却と住宅ローン返済の注意事項などを解説します。参考にしてください。
住宅ローン返済は一括返済が原則である
不動産売却をするときは住宅ローンを一括返済することが条件になっています。だから、売却後の成約価格がローン残金よりも上回る必要があります。仮にローン残金が足りない場合は、別にお金を用意して返済しなければいけません。
住宅ローンを貸した金融機関からみると一括返済しなければ、抵当権を解除しません。なぜなら、貸したお金が戻って来ないからです。
抵当権とは、住宅ローンを貸し出した金融機関が返済できなくなった時の保証として不動産物件を売って現金回収できる権利のことです。この抵当権が金融機関の担保になっています。
抵当権を解除しなければ、不動産売却すら現実として買主に引き渡すこともできません。さらに、不動産売却前に住宅ローン返済が滞ると競売にかけられることもあります。
競売とは、住宅ローンを貸し出したお金が回収できないとき、購入当時に設定した抵当権を行使して不動産売却により現金化しようとします。競売にかけられるといわゆるブラックリストに載るので注意してください。なぜなら、カードローンなどが作れないからです。
このように、最悪な結末にならない為に毎月、ローン返済するのです。特段問題なく、住宅ローン返済が予定通りに進んでいれば問題はありません。
住宅ローンの残金確認する方法
住宅ローンの残金確認は年末調整で毎年10月~11月頃に郵送される残高証明書で確認します。仮に残高証明書が紛失した場合は、再発行も可能なので金融機関に相談しましょう。また最近では、インターネット上で住宅ローンの残金確認ができる金融機関も増えていますのでチェックしてみてください。
ダブルローンを利用する方法
ダブルローンとは、現在の住宅ローンに新たに購入する不動産物件の住宅ローンを付け加える借入方法のことです。この部分だけ耳にするとよさそうに聞こえます。
しかし不動産売却の場合、築年数によっては査定価格が低くなると逆に現在の住宅ローンの支払いの方が増えてしまう可能性もあるのです。何よりも重要なポイントは、相場をチェックしていくらで不動産が売れるのか?確認することです。
ダブルローンの活用と注意点
住宅ローン返済の残金があっても買い替えは可能ですが、注意することがあります。それは、今の残金に新規ローンを追加するダブルローンのことです。ダブルローンになると支払い額も確実に増えます。
想像以上に返済負担も増えるので給与収入のアップが見込めるなら買い替えによるダブルローンに取り組んでもよいでしょう。
ダブルローンが可能になる一つの目安は、年間のローン返済額が年収の30%以内で、約80歳位までに返済できることです。
しかし、給与収入に自信がないと金融機関の融資審査も厳しくなるのでNGになるかも知れません。ポイントとしては、住宅ローンを組んだ当時の給与収入よりも上昇していることです。そして支出が少ないことです。
任意売却を利用する方法
離婚による案件も増えている
抵当権設定されている不動産を売却するには、住宅ローンの一括返済が基本条件です。しかし、個々の状況によって住宅ローンが払えずに悩むケースもあります。ダブルローンを検討するのではなく、このケースで不動産売却するなら”任意売却”を検討します。
任意売却とは、住宅ローンを一括返済できなくても不動産売却できるように抵当権設定した金融機関と交渉する方法のことです。最近では離婚などの別居で活用するケースもあります。
たとえば、住宅ローンの残金が3000万円とします。しかし、不動産売却が2800万円なら残り200万円の不足になります。原則は一括返済しなければ”抵当権解除”を金融機関は対応しませんが、任意売却の場合は、不動産売却を認めてもらい、抵当権解除後の残り200万円を少しづつ返済していく流れです。仮に月2万円返済なら100ヵ月で約9年位で返済できます。
このように解説すると”うまくいくかも!”と期待します。
まずは、住宅ローンの残金と不動産売却後の成約価格の差額がいくらになるのか?計算することが何よりも重要です。そして、配分表を作成して金融機関に承諾をもらえれば、約2万円前後で住宅ローン残金を返済することも可能になります。
配分表とは、不動産売却後に何にいくら使うのか?一覧表にした書面のことです。具体的にいうと、売却価格や売却にかかる諸費用(仲介手数料や固定資産税、管理費修繕積立金、司法書士手数料、引っ越し費用など)、そして抵当権者への支払い額がすべて書かれています。
配分表を作成するとわかるのですが、任意売却について金融機関から承諾もらえた場合、残金は余らない仕組みになります。また引っ越し先の条件が良すぎると難しいケースもあります。住宅ローン返済で大変な状況でしょうが、金融機関の立場で承諾をもらうように調整することがポイントです。
一般論ですが、任意売却が可能になるには、住宅ローンの返済が遅れて6ヵ月以上経過していないことです。中にはもう少し短いケースもありますので、できるだけ早めの対応が必要になります。
親子間、投資家など不動産購入者次第である
任意売却を進めるには、金融機関の承諾が条件ですが、不動産購入者も重要になります。たとえば、親子間だったり、投資家だったりします。お子様が現金購入するのが一番問題ありません。しかし現金がない場合、年齢や勤務状況、購入価格などでローンが組めないケースもあります。この場合、投資家にも声をかけます。
リースバックも可能
家庭の事情もあり、現在の自宅から住み替えできないこともあります。この場合、家賃を払いながら住み続けるリースバックを活用します。親子間や投資家に家賃を払うシステムです。
家賃設定は、利回り6%~8%位です。状況次第では10%もあるでしょう。たとえば、家賃設定が5万円なら5万円×12ヵ月=60万円なので、任意売却価格が1000万円なら60万円÷1000万円×100%=6%になります。現在の住宅ローンの返済額などと照らし合わせながら検討します。
また、数年後に買い戻すことも可能です。買い戻す場合は、売却価格の約20%位上乗せするイメージです。たとえば、1000万円で任意売却した場合、1200万円で買い戻す流れです。
フリーローンを利用する方法
危険である理由【注意してほしい】
住宅ローンの残債をフリーローンを活用して返済しようと考えることもあります。しかし、フリーローンは商品名の通り、どの用途にも利用できるので金利も高くなっています。また、フリーローンの審査でNGになる可能性もあります。なぜなら、住宅ローンの返済中もバレてしまうからです。安易に考えるのは危険です。
まとめ
不動産売却による住宅ローン返済方法について解説しました。まずは住宅ローン残金の確認です。そしていくらで不動産が売れるのか?相場を自分でも確認しましょう。
また住宅ローンは一括返済が基本ですが、売却してもローン残高が残るならダブルローンよりも任意売却を検討した方がよいでしょう。あとは金融機関との交渉次第です。ご不明な点等あれば、お気軽にご相談ください。